1893年創建以来、今出川キャンパスを見守り続けてきたクラーク記念館。
国の重要文化財に指定されるドイツ・ネオ・ゴシック建築の重厚な煉瓦造りの建物は、およそ5年の歳月をかけた修復工事によって、2008年に復元。配管の装飾性も増し、よりクラシカルな雰囲気を醸し出しています。
キリスト教を徳育の基本とする同志社の精神を学生たちに伝え続けて120余年。クラーク記念館はいつまでも変わらぬ同志社の象徴的存在です。
記念館の建設は、新島襄の死を悼んだ卒業生たちによって計画されました。しかし建築資金の募金活動を難航し、頓挫する寸前に。
そんな時、アメリカ人のクラーク夫妻からアメリカン・ボードを通じ1万ドルが寄付されました。これを機に建設が開始され、ドイツ人設計士と京都の大工の手により完成したのです。
クラーク夫妻は早世した息子のために記念館の建築を望み、同志社は願い通り「Byron Stone Clarke Memorial Hall」と命名。ホールの正面には子息への思いを残すタブレットが据えられました。玄関上部の欄間には、その名を刻んだ金文字が今も変わらず輝き続けています。
もとの「講堂」から、教室に改修され半世紀。
平成の修復を機に「クラーク・チャペル」と命名、別の天井に隠れていた船形天井や、見事なアーチ、天井飾りなどが復元され、本来の美しさと役割を取り戻しました。
今ではオルガンも備えた礼拝の場として、結婚式のほか、チャペルアワー、講演会にも利用されています。